頰を引き締めて、待ち人が来ないかを確認。


時間はまだある。


店の扉は開かない。



「本当に落ち着きねえな。あいつならもうすぐ来るって連絡あったぞ」


「安心しろよ」と茶化す口調がムカついて、「うるさい」と一蹴してやる。



相変わらず一人笑っているのは腹立たしいけれど、気になるものは仕方がない。


落ち着きがないのも本当だ。


否定のしようがなくて、弁明できないことが悔しい。


はあ、とため息をつく。



耳元のピアスをいじりながら携帯を開くと、待ち合わせ時間丁度になっていた。


腕時計で確認しなかったのは、携帯を開く一瞬の時間さえ早く過ぎればいいと思ったからだ。


なんて、そんなことを策にしている時点で私の彼への想いは留まるところを知らない。



それにしても、おかしい。


待ち合わせに遅れてくるような人ではないはずなのに。