からん。
懐かしくも涼やかな音。
氷がぶつかり合う。
指定された席に座って、時を待っていた。
「にしても色気立ったな、お前」
「そうですか?」
「大人の余裕ってのか?見てれば分かる」
「変態」
ぷい、とそっぽを向いて視線を外す。
頬杖をつきながら氷を眺めて暇をつぶしていた。
ちらり、腕時計を確認する。
時間はまだ2分も経っていない。
先ほどから視線の置き所が一定しているのは気のせいではないだろう。
仕方がない。
今だけは、時間が無性に気になってしまうのだから。
そう、今日は特別だから。
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