優秀だと思っていたアサヒが非行を犯した挙句、頼みの綱だった私も罪を犯していると知ったのだから。


貴方がたが望むのは前科のない真っ当な子供。


汚れた烙印の押された私たちなど価値もない、言ってしまえば道端の石ころに過ぎない存在。



心底、腹が立つ。


けれどもう、どうでもいいんですよ。


後を継げないのならそれが本望。


貴方がたにとって価値がなくとも、そんな私やアサヒにとって価値があるのはもっと違う、別のもの。


だからどれだけ侮蔑の瞳で見られたって、もう……何も感じない。



悔しいでしょう。


なら、存分に悔しがっていてください。


心の中でそう呟くと、ぺこりと頭を下げた。



「行ってきます」


悪意と皮肉のみ込められた形式上の言葉は、広い屋敷によく響いた。