「アリサ……っ!!」
家に戻って聞いたのは、荒々しく開かれた扉の音。
今にも泣き出しそうな母親の声。
そして。
「……」
蔑んだ瞳でこちらを見る父親だった。
いや、その視線の先にいるのは言うまでもない。
「アサヒ…」
不安を押し殺して隣を見上げれば、「大丈夫」と言わんばかりの優しい微笑がそこにはあった。
そうだ、平気だ。
アサヒがいれば……。
「お前が何故ここにいる」
口を開いた父親ははっきりとアサヒを見据えて問う。
「……」
アサヒは何も答えない。
業を煮やした父親の視線はやがて、繋がれた私とアサヒの手に移った。
瞬間、父親の瞳に怒りが揺らめいたのをはっきりと見た。
そして——。
「お前たち、離れろっ!!」