震える指先で、ベッド脇に座るアサヒの服の袖を掴んだ。
「離れたく、ないよ…ぉ……」
涙が溢れた。
ぼろぼろ、ぼろぼろ。
伝い落ちてはシーツにシミを作る涙を止める術を、今の私は知らない。
けど、今だけは。
知りたくないと思った。
感情のままに流し続けたいと思った。
アサヒは私の手を袖からやんわりと離すと、代わりに指を通して手を繋いできた。
「こっちの方がいいだろう」と。
そう言うように。
また安心させてくるかのように。
そして。
「アリサ」
ようやく口を開いたアサヒは切ない表情で、切ない声を出す。
「僕も、離れたくないよ」
アサヒの瞳が不安げに大きく揺れていて、いくら大人びて見えようとも、やはり年相応の1人の人間。
だけど止まらない涙を生み出し続ける私の視界はぼやけて、その姿をまともに目視する事ができない。