* *
暗い、暗い水の底。
もがいているわけではなくて。
苦しんでいるわけではなくて。
ただ、流れるようにたゆたっている。
ゆらゆら、ゆらゆら。
唇の隙間から抜けていった幾つもの気泡が本物の泡のようで、まるで大切なものが一つ一つ消えていくような気さえした。
どうしてなのか。
答えはまだ、見つからない。
探し物はなあに?
あの子は見つかった?
本当に?
それならもう、この手からすり抜けてはいかないの?
安心しても、いいの?
次々と生まれる疑問。
数多の問いかけは、誰に聞こえるわけでもなく、気泡と共に水面へと消えていった。
——私を、置いて。