「あの、アサヒ」


「ん?」


「……ううん。なんでもない」



シロウさんと話したあの日から、私はなんとなくアサヒに声をかけづらくなっていた。


アサヒも不安だろう。


けれどそれを表に出さないのは流石とでもいうべきか。



それにしたって、私が彼を避ける理由はどこにもない。


いや、別に避けているわけではなくて。


言葉は交わせているんだ。


ただ、本当になんて声をかければいいか分からないだけ。



私の行動が不快にさせているのかもしれない。


ここ最近は、私を気にしたアサヒは目が合うと笑いかけてくれるだけになっていた。


つまり、アサヒからも声をかけさせにくくしているのだ。


原因は私にあると知っていながら、いざ彼を前にすると何も言えなくなることがもどかしい。