自然と口から漏れたのは、歓喜でも何でもなくて。
「や、め……て………死に、たく……な……」
心の底から吐き出された、本音だった。
瞬間、締め付けから解放されて、先ほどよりも激しく咳き込む。
彼が本気だったなら、もっと早くに私は窒息死していたに違いない。
「な……ん、で……」
殺さなかったのだ、と。
問いかけるように見上げると、冷めた瞳と目があった。
「お前の本音、聞きたかったんだよ。言えんじゃねえか。ったく」
「あ……」
「殺す気はなかったよ。寸でのとこで止める気だったっつの。
人殺しなんて後味悪い」
言っているそんな声は耳に入らない。
手指を動かして、感覚を確かめる。
生きている。私は確かに、生きている。