「それがあいつを、救うことになるって知ってもか?」
「……アサヒを?」
救う……?
何を言っているんだろう、この人は。
なぜ、こんなにも冷たい目をしているのだろう。
確かに私に向けられている。
それは、どうして?
「お嬢さん。お前はあいつから真実を聞き出さなかったことを後悔すべきだ。
あいつがお前を守っていることにどうして気付かない。
それとも気付いてて目を瞑ってんのか?とんだ甘ったれだな」
違う。
アサヒは何も聞くなと言う。
なら私はそれに従うしかないでしょう?
そう、思うのに。
「お前のそれはアサヒのためじゃねえだろ。目え覚ませ。現実を見ろ。
そうすることがアサヒのため?ふざけんな。あいつの言葉を真に受けでもしたのか?そいつは残念だったな。あいつは何もかも未熟なガキなんだよ。分かってんだろ。
少なくとも、お前があいつの本心を見抜けねえとは思えねえ」