そう一つだけ、どうも慣れることができない。
心の内でも時々ぼやきが出る所為か、抜けないおかしな敬語には仕方がないと諦めている。
こればかりは要求されてもどうすることもできない。
それよりも、と。
「シュウ、あの…」
椅子を持ち出して腰掛けたシュウに私は声をかけていた。
そろそろ探りを入れてもいいかと思ったのだ。
「ん?」
常の微笑は健在で、向けられたそれに気後れしてしまいそうになるけども。
……そう、けどもっ!
「私は貴方に聞きたいことがあります」
これから少しずつ。
今日から始めてさりげなく、何気なく、ふと思いついたかのように。
平常心を保ちつつ。
「——ずばり、お歳はいくつですか?」
声は無駄に高調していなかったか。
大丈夫と断言できないことが何とも痛い……。