「それから俺は、あいつを見かけると声をかけに行くようにした。んで、店に誘う。その繰り返しで、アサヒのやつも折れたんだろうな。
嫌がる態度は見せなかったものの渋々だったあいつが、積極的に俺のとこに来るようになったんだ」
顔を綻ばせて言うものだから、よほど嬉しかったのだろうということが窺える。
それは、想像した私にとっても微笑ましいものだった。
何故だろうか。
この人のことは不愉快だと思わないのだ。
あれだけ人を拒んでいた私が、アサヒ以外でこの人だけは。
アサヒにも似た何かを感じるからか。
心底、不思議だった。