と、真剣に悩みだした私の後ろで鍵が差し込まれる音がした。



がちゃがちゃと数回、鍵を回す音がして、開いた扉の先に現れたのは、そろそろ見慣れた美麗の持ち主。


今日も今日とてイケメンが様になってるなあ、などと考えながら出迎える。


もちろん、妙に動き回っていることがばれない様、平常心を装いつつ。



「お待たせ」


「お、おかえりなさい…!」



正直、待っていたかは微妙なラインなのだけど、口が裂けても言えたものではなく。


そんな非日常の中、強制されずとも彼を出迎えるのは常の日課になりつつある。


彼は何も言わない。私も自然とやっている。



この異常なはずの状況下で、双方の関係図は一体どう変わってこうなるのか、さっぱり見当も付かない。


ただ、一つ。


「あまり畏まらなくてもいいのに」


「……そ、そう言わずに…」