早くほとぼりが覚めればいいのに。
そうしてアサヒに会いに行って、二人でどこかに逃げてしまいたい。
そんな、夢物語の様なことを思いながら無理な話だと、そっと胸の奥にしまい込む。
今は何が何でも、アサヒのことを漏らさない。
彼が今どこで何をしているかは知らないけど、些細な情報源でもこの人たちが欲してくる。
ということは、それだけでも足が掴めるかもしれないと言っても間違いはないのだ。
絶対に与えない。
思い通りになどさせはしない。
だから私は今日も、記憶が戻っていないふりをしてシラを切るのだ。
しばらくすると警察は帰って、親も愛想を良くしながら部屋を出て行く。
ようやく解放された、と小さく伸びをした。