満足げに私が笑う前で、我に返ったアサヒはため息をつく。


「ずるいなあ、本当に」


「ん、何が?」


呟きに反応して返すと、彼は片手で目元を覆ってまた一つ、大げさにため息をついた。


その意味を、姉である私が理解できるはずもない。


もちろん、アサヒも理由を言うことはないのだろうなと薄々感じていた。



彼が思わず動揺してしまったのは、私の言葉に対してなのだと、気付きもせずに——。