『君が悪いんだよ。邪魔をするから』
『嫌がるアリサに何したの?ねえ?』
にこやかに、だけど低く低く、強い声。
こんな声、聞いたことない……。
どうしたの?
これはなに?
ボロボロの相手を見下ろすアサヒ。
目の前に広がった光景に息を飲む自分。
悲惨で凄惨。なんて惨たらしいの。
あんなアサヒが見たくなくて、私は…——
——どうしたの?
止めに入った。
そう、そうだ。割って入って。
そうして——。
気づいたら、血だらけの光景が頭を占めた。
自分が悲鳴をあげたのを覚えている。
「……アサヒが、刺したの……?」
ぽつり、漏れた呟き。
決してそうではないのに自然と、問いかける形になってしまう。
震える声をなんとか押し留めようと意識はしていた。
到底押さえ込めるわけがないのに。