幻聴かと思った。
まさかそんな、こんなにもすぐに会えるとは思わない。
振り返ると、変わらない彼の姿がそこにはあった。
……いや、変わらないなどとんでもない。
すぐに気付いた。
少し、疲れた顔をしている。
感情を隠すのが上手い彼がここまで露わにするというのは、相当大変だということなのだろう。
「アサヒ……っ!」
バレたらまずい、と高揚感を抑えて名前を呼んだ私を彼は少し悲しそうに見る。
その理由はすぐに分かった。
「僕の名前…。思い出したの?」
「……全部、ではないけど大体は…」
様々な衝撃が重なったことで思い出したんだろう。
気づいたら私も驚くほどに記憶が戻っていた。
沈黙を防ぐために、私は努めて明るく言う。