「そう。もちろん、何もしなくていい。
寝具、飲食、トイレもシャワールームもこの部屋には完備されている。
必要なものは基本的に何でも揃っているし、足りなければ僕に言えばいい」


なるほど、用意周到なことで。


返しに上乗せするかのような快い返事にため息すら漏れそうになる。



これは一朝一夕で立てられるものではなく、欠陥、穴の開いた計画なんかではないことが一つ分かりました。


ぐうの音も出てこず、降参を示すように敬語に戻る私の心境は、最悪といえばきっととても最悪なんだろう。


もう何も言えないのも無理はなく。


「…そう、です…か……」


気力もなしにようやく絞り出せたのは、小さくか細い返しのみ。


とりあえずは、と。


現段階での見解で、危害を加える気はないみたいなので、しばらく様子を見ることにした。