彼らの言うことが全てだとして。
それを私が完全でないと思い込みたいのは、救われたいと願うが為に表れた、自身の心ではないか。
まるで私を縛る罪のような。
意識の奥底に眠るその、研ぎ澄まされた怯えた心を守りたいだけ。
そうなのではないのか。
もちろん、それを良しとしない自分がいるのは事実。
けれど、一度でも考えてしまった私がいるというのもまた、事実なのだ。
ああ、最低だ。
心底、最低。そして最悪。
私は自分の意思に背いて、自我を守ることを主体として優先させようとしている。
こんな醜い自分を知られたくない。
他でもない、アサヒには。
月はこんな醜い自分まで照らし出そうと、容赦なく降り注ぐ。