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衝撃の後は何もかもがすっぽ抜けてしまうようだった。


時間の流れが速い。


気付けば日も暮れて、夜になっていた。



消灯の時間なのか、院内中の電気は消されて真っ暗。


静けさに包まれた部屋で私は一人、椅子に腰掛けて窓の外に目を向けていた。


ここだけは月明かりで幾分明るい。


照明は眩しすぎて、今の私の心のざわつきには相応しくない。


これくらいがちょうど良かった。



先ほど帰って行った、私の親だと名乗る人たち。


いっそ全てを忘れてしまえたら楽だったのに。



彼らの言葉は刃物のようだと思った。


彼を、シュウを、アサヒを、仮にも自分たちの子供を。


あそこまでひどく貶められるものなのかと、私は自分の耳を疑ったほどだ。