瞬間、返ってきたのは信じられないと言わんばかりの表情。


すすり泣く声にはいい加減うんざりする。


「正気なのか?おい…」


初対面の相手になんて失礼な人たちだろう。



シュウは、そんな無遠慮に接してはこなかった。


常に私のできる限りを尊重してくれていた。


シュウを好いている理由は、そんなものでは計り知れないけれど。


少なくとも、この人たちよりは幾分も常識的だったと断言できる。



私の体調に問題が生じていると何故、決めつけるのか。


気付けば医者に徹底的に調べられて、質問をされて、部屋に戻されたのは2時間も経った頃だった。


すっかり気分を害された私は、ますます不快感を露わにしていた。



「まさか、記憶を失っているなんて……」


「無理もない。あんな事があった後だ」