目が覚めると、真っ白な天井が見えた。
デジャヴ……?
そう思ったけど、見渡した知らない部屋に首を振る。
違う、ここは、私の知っている部屋ではない。
硬めのベッド。
花の刺さっていない空の花瓶。
部屋を閉め切る淡い色の重たげなカーテン。
そして。
腕に刺さった“異物”。
チューブを通して袋入りの薬液と繋がっている。
いわゆる点滴。
引き抜こうとして、止めた。
これを抜いて、ここから抜け出したとしても、あの部屋に一人でたどり着ける気がしない。
連れて行ってくれる人はいるかもしれない。
けど、もう今更帰れる場所はないのかもしれない。
シュウと共に過ごしたあの部屋にも似た、隔離空間のような部屋を見回して憂鬱な気分になった。