まだ少しだけ気力を振り絞って耐えてみせる。
だから早く、会いに来て。
「——シュウ…」
ぽつり、呟く私の耳に届いたのは、聞いたことのある声だった。
「アリサ…っ!!」
長く聞いていないような、そんな声。
だけど。
「だれ……?」
私の知らない声でもある。
それは、私の望んだものでは決してない。
ここに来てくれるのは一人でいいの。
お願いだから邪魔をしないで。
「……来ないでよ…」
憎悪さえ孕んだ声は誰にも聞かれず。
どこにも行かず。
ただ、ずっと。
——届かないまま、消えていった。
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