ああ、あの少年は一体誰?
誰だと思う?
考えてみて。私のよく知っている人だから。
だけど、確信に近付くにつれて遠のくのは記憶。
分からない。
分かっているのに、分からない。
どうしよう。どうしよう。
彼がいないと私はまた。
「——ひとりぼっち…」
涙が溢れた。
傷だらけの腕がだらりと垂れる。
苦しいのは、痛いのは……
蟠りがあるような胸の辺りか。
靄がかかったような頭の中か。
真っ暗になる恐怖に怯える目の前か。
何も掴めない役立たずの手の平か。
追えもしない重たいこの足か。
どこ?
多分、全部。
そう。それなら私は、とてもとても貪欲。