「なんでって言われてもな。あ、自業自得ってヤツ」
「なるほど」
「理解出来たんだ」
「あたしをなんだと思ってるの?」
「バカ?」
「佳奈の方がバカだ」
「はいはい」
階級も無くなって、最初はクラスがちぐはぐだったのが、当たり前のような日常を取り戻しつつある、そんなある日のこと、副担任が、あたしの隣の席の三津谷くんが呼ばれた。呼ばれたものの、鈴村くんと話していて、それがイライラしたあたしは、
「あのさ、三津谷くん、鈴村くんと言い合っててもしょうがないと思う。とりあえず行って来たら?」
と、言った。
納得したように、こう言った。
「そうだな。えっと、名前…」
「有村だから」
「ごめん。有村。ちょっと行って来るわ。それと迷惑をかけるが、鈴村は俺の、有村は美樹ちゃんのノートお願いできる?報酬は購買のパンと飲み物」
「約束守れよ」
「約束ね。あ、それから、美樹ちゃん紹介してよ」
「俺も」
「有村はいいけど。鈴村はな~」
「おい」
「ウソウソ。紹介するよ」
それだけ言うと、三津谷くんは副担任の所へ行った。
「有村優しいんだな」
「優しくなんかない」
「優しくなきゃなんなの?」
「なんなの?って普通のことやってるだけ」
「へー、すげーな」
「そう?大神さんのことあんま知らないのに」
「話してないけど、あの子、いい姿勢してるんだよ」
「姿勢?」
「うん、授業中とか背筋がピンって伸びてるの」
「よく見てるんだな」