「そういうわけじゃないけど」
「あーーもぅ、早く大神先輩のとこに行ってください」
「あぁ、悪かったな」
「あたしは、楽しかったです」
「おぅ」
こうして江口と別れて美樹のとこへ。でも、美樹がどこにいるのかすら分からないが、1ヶ所だけ思い当たる場所がある。
「ここだ」
俺は、チャイムを鳴らした。すると、『はい』という声。
「あの、美樹さんいますか?」
「いるけど、合わせる訳にはいかない」
「なんでですか」
「君は、別の子と付き合ってるみたいではないか」
「別れました」
「…とりあえず入ってくれ」
「はい」
…俺が向かった先は美樹の家だった。
「久しぶりだね、三津谷くん」
「はい」
「元気だったのか?」
「とりあえずは。でも」
「でも?」
「でも、美樹さん…大神さんのいない家はとても寂しかったです。大神さんのいない学校も楽しくないです」
「…」
「いきなりすみません。でも、いつの間にか大神さんが僕の中心になっていました」
「…」
「僕には大神さんが必要なんです。確かに、別の子と付き合っていました。でも、初めは、付き合えないって断りました」
「…」
「でも、その子に『1週間限定で付き合って』って言われたんです。断ろうとも思いましたが」
「…」
「無理でした」
「それはなんでかな?」
「そこまでしてでも僕と付き合いたいって言ってくれた子に失礼かなって思ったんです」
「…」
「で、今日ちゃんとケジメつけてきました」