「…」
「大神は悪くない」
「…」
「な?三津谷」
「え」
「…」
黙って出てくる翔太。
「翔…太」
「お、おぅ」
「さて、俺はちょいとトイレ」
「ちょっと、待って、先生」
今、先生に居なくなられたらかなり気まづいんだけど。そう思っても
「じゃーね」
あぁ、居なくならないでよ。そう思ってもどこかに行ってしまう。
「み、美樹」
「ん」
「俺が悪かった。ごめん」
「…」
「そうだよな。美樹にだって話されたくないことあるよな」
「あるにきまってんじゃん。ふざけんな」
「そうだよな。でも、あの2人は信じてやってくねーか?」
「信じる?」
「あぁ」
「あのクラスでいじめがあっても、誰一人として助けてくれなかったのに?」
「…」
「それでもだ。それでも、騙されたと思って信じてやってくれ」
「さっきの話し聞いてた?」
「聞いてた。でも、お前ずっとこのままだと俺が居なくなったらどうすんだ?」
「翔太、居なくなる?」
『居なくなる』その言葉にあたしの何かがズキンと傷んだ気がする。
「俺がお前の傍から居なくなるわけないだろ」
「うん」
その瞬間、あたしのズキンと痛んだモノがなくなった。
「でもな、明日、俺に何が起きてもおかしくないんだ。この世の中。まぁ、逆もそうで、明日、美樹に何が起きてもおかしくない」
「え」
「明日、事故って俺が死ぬかもしれないし、美樹が無差別殺人事件に巻き込まれるかもしれない」
「そりゃそうだけど」