「ただいま」
 スーパーで買い物が終わり帰宅した。
「おかえり。風呂掃除やったよ。俺の分の弁当も洗った」
「ん、ありがと」
「あ、ご飯も炊いてる」
「はいよ。んじゃ、カレー作るからちょっと待ってて」
「勉強してくる。美樹ちゃんご飯出来たら教えて」
「分かってるよ。勉強してる途中で寝ないでね」
「寝ないようにする」
 そう言って翔太は勉強しに別の部屋に行った。もちろんあたしにだって勉強はある。だから、料理を作ってる最中は翔太が勉強して、食べ終わったら片付けしてる最中はあたしが勉強をする。
同居する時にそういう約束をした。でも、翔太は勉強しなくても勉強が出来ちゃうタイプ。あたしとは真逆で、あたしは勉強をするタイプ。翔太の勉強はさほどない。
 翔太があたしのことを『美樹ちゃん』と呼ぶのはふざけてだったのが徐々にガチになりあたしは呼び捨てになっていた。呼ぶのにさしあたっては、家の中だけにしてくれと頼んであり、学校では無視をしてくれと言ってある。そう言ったら、授業中にメッセージが来るようになった。まぁ、完全にスルーな訳だけれども。そんなことをしていても構わずにメッセージが毎日のように来るようになりそれが当たり前になっていた。
「カレーは出来たし。サラダも出来た。翔太を呼びに行くか」
 そう呟いて、二階にある翔太の部屋に行った。翔太の部屋はあたしの隣。家は、翔太の父親が使わないからと一軒家を貸してくれた。家賃も一括で払ってあるのこと。