「おい」
「翔太だ」
「俺だ、翔の太いって書いて、翔太だ。ったく。俺じゃなかったら誰なんだよ。ドッペルゲンガーかよ」
「だって、『寂しい』とか絶対に翔太の言葉じゃ…」
「美樹ちゃんが居なくなって初めて気づいたんだよ」
「何に気づいたの?」
「家事してことがどれだけ大変か」
「マジか」
「マジだ」
「何か作れるようになった?」
「カレー、シチュー」
「うん、ルーが違うだけだね」
「で、でも、美樹ちゃんの味にならなくて」
「ふふ」
「笑うなよ」
「普段見てないからでしょ」
「俺勉強してるし」
「…翔太、前々から言おうと思ってたんだけどね。部屋で勉強してないの気づいてるから」
「マジ?」
「だって、授業中に前の教科の宿題してるってクラスの子達言ってたし」
「気づかれてるなら美樹ちゃんの料理見てる」
「堂々とされても困るんだけど…」
「勝手にさせていただきます」
それからというもの、退院したらあたしの料理をノートに書き留め始めた。初めは、簡単に覚えられてたのが段々覚えられなくなっていったらしく…結果ノートに書き留めるという手段になったらしい。
一方のあたしは父親に許しをもらって登校拒否をしていた。退院したからと学校に行こうと思ったのだが、いろんなことが頭を過ぎって行けなくなってしまった。それからと言うもの大体想像は着いてしまい、来週あたり退学届けを出そうかとも考えているのが中々言い出せない。
「ここはやっぱり無理してでも学校に…」
そう呟くと