私、大樹に出会えて幸せだったよ
2人に遺書なんてかけてたら、こうなるんだろうな。死んでしまってからこんな思い、本人に届くはずないのに。
2人とも泣いてる。
泣かないでよ、私ここにいるよ、2人には見えないかもしれないけど、私はここにいる、2人のこと見守ってるから。
花音 END
俺は佐崎太樹
花音が死んで1年が過ぎた。
この日々は、1日とも花音のことを忘れたことはなかった。これから先もそうだろう。おれは、ガキの頃から花音のことを愛してた。でも、俺は花音のプライドを知ってたから。俺が告白なんてしたらあいつは体のこと気にして、我慢するだろう、それで、俺のことふるんだろうなってずっと分かってたから、俺も自分の気持ち封じ込めてた。それが、あいつのことあんなに苦しめてたなんて知らなかったから
花音の人生、俺はずっと見てきた、保育園の時だって、小学校の時だって、体育をしてないか見張ってたくらいだ。中学の時はあんまり学校に行けてなかったけど、あの身体でテスト勉強だからって夜更かししようとしてた時も俺はずっと見張ってた、そんなの将来医者になるって奴が見逃せるわけがない。
結局、テストを受けずじまいでずっと入院になってしまった。
花音が自分のこと、俺のことをどう思ってるかなんて全然知らなかった。あれだけ、ずっと一緒にいるんだ。嫌われてはいないだろうと思い、自分の気持ちを伝えた。
返事が、おっけいだった時は泣きそうになるくらいだった。まぁ、男がなくなんてカッコ悪過ぎてそんなことできなかったけど
でも、付き合って次の日に花音がいなくなってしまうなんて、思っても見なかった。だって、死なせないって言ったばっかりだったから。すぐに約束破ってしまったじゃねーか。なんで俺はあいつのこと1人にしたんだ。なんで
俺はずっと自分のこと責めた。でも、ふと思った、こんなのあいつが望まないって。自分のこと責める前にあいつの人生を振り返る。あいつのことを一生忘れないでいるのが、あいつの望むことなんじゃないかって。言われなくても、俺は絶対忘れない。たとえ記憶喪失になったって、花音のことは絶対に忘れねえから。
なぁ、花音、見ててくれよ。おれ、勉強も部活も頑張ってる。頑張ってるから成果出てんだよ。言えなかったけど学年でトップなんだぞ、おれ、昔は勉強なんてできなかったのに、俺、お前に、熱心に頑張る俺が好きって言われて火がついたんだよ。それでテストで学年トップなんだぞ、なぁ、褒めてくれよ。
テニスだって、近畿大会まで行ったんだよ。
そのあとは腕負傷しちまって。終わっちまった。引退までまた頑張る。引退したら本格的に医者目指して大学受かるように勉強頑張る。見ててな、将来、病気の人を俺の手で助ける。花音が見ててくれたら俺、やる気が出るんだ。
お前のいきてた人生、俺の宝箱にしまっておく
誰にも奪われないようにな
花音へ
花音、俺、医者になったよ。勉強必死こいてやって、大学受かって、花音がいた病院で働いてる。覚えてるか?花音が助けた女の子。愛ちゃん。あれから花音の命日には病院に顔を出してくれるんだ、もういいよって言ったら、「私の心のよりどころなんですって」そんなこと言われちゃったらおい出せないよな。15歳になったよ。あの時の俺らと同じ年齢。懐かしいよ、花音が来てくれるみたいで。何処と無く、花音に似てるところがあるんだ。
なぁ、花音、俺は元気だよ。これからだって。
夢でさ、花音から手紙が来たんだよ。
"大樹はもう25歳か。もう結婚してもいい歳だよね。ねえ、大樹、私のこと思ってくれるのは本当にしあわせだよ。でも大樹にはしあわせになってほしい。私もこっちで大樹よりかっこいい人見つけちゃうから。太樹も素敵な女性と出会ってよ。私祝福するから"