あなたがここにいる奇跡

私はこの物語の主人公 相田 花音 16歳
10年後の自分なんて何してるかだれにもわからないけど、明日の自分だって何してるか、もしかしたら死んでしまうかもしれない、演技でもないこと言わないでって思うかもしれないけど、だれだってそう。いつ死ぬかわかんなくて内心ビクビクしてんの。あなたの隣にいる大切な人。それが、家族かもしれないし、愛する彼氏彼女かもしれない。私には愛する彼氏がいた、いや、彼氏だったのかはわからない、今から始まるのは切ないラブストーリーなのかもしれない
「かのんちゃん、あそぼー」
いつもの様に幼馴染の佐崎太樹が家に来た。これは、5歳の頃の夢?懐かしいなー。
「かのんちゃん、おっきくなったら結婚しよーね」
ごめんね太樹、ちっちゃい時のプロポーズ、私がダメにしちゃったね。私もそのつもりだったのに。
「かのんは体弱いから、結婚できないかもしれないよ」
死んじゃったら結婚なんてできないものね
「かのんちゃんは死なないよ、僕が守ってあげる」
かっこいいこと言っちゃって。でもみんな、その言葉を信じてる、太樹は立派な医者になるんだって。
「たいきくん、ありがとう」






ねぇ、太樹、あなたの夢は今でも私の宝物だよ
君が守ってくれたから私はそれだけで幸せだった。たとえ20歳まで生きられなくても、私には十分すぎたよ




私は生まれつき心臓の重い病気をもっていた。だから小学生の私には体育の授業は無縁だった。

「かのんちゃんはどうして運動会しないの?」
「かのん、病気なの。だから運動会もできないの」
「かわいそーーー、病気ならお家にいなきゃダメなんだよー、病気の子は学校に来ないで!」

そんな時
「かのんちゃんは、強いよ、運動会したくても我慢してるんだよ」

あの時のあのフォローは救いになってたのか、今では笑っちゃうけど、小学生だったもんな、それなりに私を守ってくれてたんだ。

ねぇ、太樹、私はわかってたよ、昔からあなたのその優しさに、私の体のことで同情なんかひとつもしないあなたに恋をしてたことは伝えちゃいけなかった。いつ、なくなっちゃうかわかんない命のままで、あなたと恋人にはなりたくなかったから。
時に私の体は悲鳴をあげる。まるで嵐がおとずれるかのように

まだ、小学生だった頃

「ただいまー、お母さーん、帰ったよー」
「花音、おかえり、手洗って、うがいしちゃいなさい、おかあさん、これから地域の集会に行かなくちゃいけないから、ご飯食べといてくれる?薬飲みなさいよ。」

「はーい」と返事をして、テレビを見ながらご飯を食べた。食べ終わりソファでゆっくりしていると

ピーンポーン