ここは、*Ari*の部屋。
この部屋に入った作品たちは、完結しないと伝えられている………。
「……馬鹿馬鹿しい。ただ作者が面倒くさがって書かないだけじゃないか」
「ちょっとサイコさん!入っちゃ駄目ですって!!」
西川の必死の阻止も虚しく、彩子は部屋の中へと足を踏み入れた。
「ん?あー!新入りさんだあ♡」
春太の声が響く。
部屋の中では、『青春、始めます!』のメンバーと『昨日、学校一の不良……どうちゃらかんちゃら』のメンバーが暢気にお茶会を開いていた。
「なんだよ、どうちゃらかんちゃらって。あのな、正式名は、昨日、学校一の不……」
ええい、書くの面倒くさいんじゃ!
「最後まで言わせろ!!」
凌我の訴えは、儚く却下された。
泣いている凌我をよそに(泣いてねえわ!)、美喜が彩子たちに声を掛ける。
「あ、お二人も食べます?美味しいですよ、これ」
「なんだこれは?」
「あの!超有名な!!*Ari*作品史上最も反響が大きかった長編作品、『大嫌いなアイツの彼女になりました。』のanother storyで二人が食べてたお菓子の残りです!」
「余り物かよ!!」
「あたし達にとっては、これはとても運気が上がるお菓子なんですよ」
優乃は嬉しそうにお菓子を見つめた。