そして、机の引き出しの中から、ピンク色の包装紙に包まれた長方形のものをあたしに渡した。


「うわあ、ありがとう。開けてもいい?」
「もちろん」

あたしはリボンを解き、包装紙を開ける。


「……これ、ハンドクリーム?」
「うん。ラズベリーの香りだよ」
「へえ、本当だ。いい匂い」

あたしはハンドクリームのふたを開け、手に塗り込むと、その手を臭った。
ラズベリーの甘酸っぱい匂いが、あたしの心にまで届き、幸せな気持ちになる。


「ありがとう、相馬くん」
「いいえ!あっ、純香ちゃん。チョコ貰っておいて悪いんだけど……お願い、聞いてくれる?」
「お願い?いいよ。ハンドクリームくれたし、そのお礼ってことで。お願いって何?」


あたしがそう聞くと、相馬くんはあたしに近付いて、

「……もう1回、キスしてもいい?」

と、耳元で囁いた。