「彼女が作ってくれたものは、好きな人が作ってくれたものは、なんだって最高なんだよ。それに、普通に美味いし、これ」
「そっか……ありがとう。嬉しい」
「ははっ。こちらこそ」


相馬くんは幸せそうに笑うと、ブラウニーをペロリと全部食べ切ってしまった。

あまりにあっという間すぎて、あたしは驚く。
けれど、その笑顔を見て、あたしも笑った。



「……あっ、そうだ。俺もね、純香ちゃんに渡したいものがあるんだ」
「えっ?どうして?」
「チョコのお返し」
「いや、1ヶ月早いよ」
「冗談だよ。バレンタインとか関係なく、渡したくて」


相馬くんはそう言うと、汚れた手を拭いて立ち上がる。