ゲームって勝ち負けがあるはずなのに、あれにはないじゃん。
引き分けすらもないじゃん。
キスして、あっ……とか言い合って、恥ずかしがって、それで終わりじゃん。

あれはゲームじゃないよ。
ポッキーキスだよ、ポッキーキス。



「いや、それは止めよう」
「なんで?いいじゃん。丁度、ポッキーもあるんだし」
「このポッキーたちはそのために生まれてきたわけじゃない。ポッキーも、それは望んでないよ」
「何言ってんの、純香ちゃん。ほら、はい」

相馬くんはポッキーをくわえて、もう一方の端をあたしに差し出してくる。


「いや、止めようよ」
「ほーら、早くー」

必死に抵抗するが、相馬くんも譲る気がなさそうだったため、諦めてポッキーをくわえた。


「じゃあ、いくよ。よーい、スタート!」

その合図でポッキーを食べ始める。


ああ、ポッキーゲーム…じゃなかった、ポッキーキスが始まった。