「……良かった。用意しといて」
そう呟いた玲汰先生の方を向くと、玲汰先生があたしの顔を見た。
「用意、してたの?」
「うん。この教会も、調べておいた。……今日のために」
あの玲汰先生が、あたしのためにわざわざ……。
そう考えると、もう涙が止まらなくて、あたしはまた泣き始める。
「ふっ、泣き過ぎ」
「だってー………うぅ」
「なあ、千夏」
玲汰先生は泣いているあたしの目の下の涙を、服の袖で拭いながら、優しく微笑む。
「ずっと、俺の傍にいろよ。幸せにしてやるから」
玲汰先生の言葉が、あたしの心臓をぎゅっと掴んで離さない。
それは今だけじゃなくて、ずっと前、出会った時からだ。