「あー、何も番組やってないじゃん」
「そりゃまあ、夜中の3時だからな」

つまんないの、とあたしはリモコンを机に置いた。


そのままソファに項垂れるようにして部屋の中を見渡すと、初めて来た時とは全く違う部屋になったな、と感じた。

あたしが玲汰先生の部屋に出入りするようになってから、正確には玲汰先生と付き合うようになってから、この部屋はあたしの所有物化してしまった。


例えば、マグカップがやけに可愛らしくなったり、ティッシュカバーがふわふわの生地だったり。

あたしの趣味で置いている観葉植物の隣には、ラズウルと呼ばれる熊の形をしたラズベリーの妖精のキャラクター人形が、ちょこんと可愛らしく座っている。
最近流行りのキャラクターだ。



そんな、あたし色に染まった部屋のソファに座っていた玲汰先生が、ふいに立ち上がった。