いつものように、廃校のような細く長い通路を歩いていく。ここへ来た当初は、この長い通路を歩くたびにドキドキしていた。通路の右側には3畳ほどのシャワー付の部屋が5部屋ほどあり、ノックをするまでアタシの頭の中では、汚いおっさんや、毛深いデブ、しわがれた金持ちのジジイとか、そんな風の魑魅魍魎が浮かんでは消えていき、胸の鼓動はいつになく高鳴っていた。恋愛をした時のドキドキとは相反的で、たとえるなら、お化け屋敷にでも行ったかのような心境だったのだろう。一度などは、耐え切れず、通路の脇で泣き出してしまったこともある。その日は、そのまま自宅で療養となったが、次の日にはまた出勤し、オッサンのチンポをこれでもかとむしゃぶっていた。その瞬間から、アタシの心の中のネジが一つはずれてしまったのだろう。今となっては、何の感慨も浮かばない。ただ、無気力のまま、ヴァージン・ロードを逆走するかのように、その狭い通路を歩いていく。