体の中にあるはずの芯が、抜けてしまったようで何もする気が起きません。

「姫、お腹が空いただろう。こちらにおいで」

王子にすすめられて、椅子に座って美味しいご飯を食べました。
そういえば、家を出てから今までご飯を食べていませんでした。そんなにお腹が空いていないと思っていたのですが、食べ始めてみると、どれも美味しくて王子とは一言も喋らずに、口に運んでいきます。王子は、それを嬉しそうに見ながら、自分も食べていきます。

料理を食べ終わると、次に見たこともないものが出てきました。
それは白く、フォークで切ってみるとサクサクとするかと思えば、中はふわりとして、口の中にいれてみると甘く上品でとろけてしまいました。

「美味しい?」と、王子が笑いかけると少女は、うんうんと返事をしました。
今まで、これほど美味しいものに出会ったことがあったでしょうか。