どれくらい寝ていたでしょうか、少女が目を覚ますとそこは王子の胸元でした。
王子は、椅子に座って少女を抱きしめて寝ていました。よく覚えていないけれど、途中から王子に引き寄せられて抱きしめてくれたような気がします。

「王子さま、おきて王子さま」

少女が、王子をぽんぽんと叩くと王子は、うーんと伸びてから目を覚ましました。

「姫につられて、僕までよく寝てしまっていたようだ。気分はどうだい?」

「王子さまのおかげで、少し良くなったわ。ありがとう」

「それは、よかった。人は、悲しいときに泣いて、楽しいときに笑えばいい。我慢していたら体に毒だ」

それから、召使を呼んで、美味しいものを持ってくるように指示しました。
少女は何も考えずに、ただぼーっと天井を見つめていました。