「冬のベットって、温かくて素敵だけれどそこから出ないと、何もできないの」

男を強く引っ張っていたのは、少女でした。気を抜いていたので、あっと言う間に男は外に出ました。息を吸い込むたびに、冷たい空気が肺を満たしていきます。
久しぶりの外の世界。怯えていたほど、闇は深くありません。

「不思議だ。この中からみた外は真っ暗だったのに」

「それは、闇を知らないあなたが光の中から見ていた景色だからよ。光は闇があるからより際立つ。あなたは、あなたが思っている以上に輝いているのよ」

男は、少女を改めて見ました。自分より歳が一回り小さい女の子です。

「やっと、私を見てくれた」

少女は、男の顔を見てにっこりと笑いました。その目は、キラキラとしています。