「なっ、お前!」
私の上の男に健くんが飛びかかって、「水島!警察呼べ」と叫んだ。

「わ、わかった。留愛、待ってて」
よっちゃんがバタバタと走る音が響く。

男は健くんを殴り付けて「ガキがっ」と吐き捨てて部屋を出て行く。

目を泳がせた健くんに紐をほどいてもらって毛布を被ったら、泣きながらよっちゃんが戻ってきた。
大柄な警察官と一緒に。

その後はママが大慌てで帰ってきて、たった1日で私たちは引っ越しした。

あの男がどうなったのかは知らないし、知りたくもない。