「そ、そうなんですか…」

まやは呟くように返事をした。

「それで交通機関を使うて迎えにきたっちゅー訳や」

狼谷は得意気に笑った。

「こ、交通機関ですか?」

(タクシーでも使うたんかなと思てましたわ)

狼谷の口から交通機関が出てきたことに、まやは驚いて聞き返した。

「何や、わいが電車とバスを知らんとでも思とったんかい?」

「そう言う意味で言った訳じゃないんですけど…」

「副社長とは言え、財閥の人間とは言え、わいだって人間や。

一般常識も知っとるし、電車とバスの乗り方くらい知っとるわ」

(何でそこまで言われなあかんのや)

心の中で呟いたら、
「何か言いたそうな顔しとるな?」

狼谷に見抜かれてしまった。