「自分では気づいていないかも知れないですけど、結構寂しそうでしたよ。

本当は副社長とケンカでもしたんじゃないですか?」

そう言った倉坂に、
「していません」

まやは光よりも早いスピードで言い返した。

「まやさんにメロメロなところを見ると、逆に副社長が尻に敷かれに行っているのかも知れませんね」

「尻に敷かれに行くって…」

(何ちゅーこと言うねんな…)

まやは呆れて言い返すことができなかった。

「でも今朝は仕事の都合で一緒にいられなかったから…もしかしたら、帰りは一緒にいられると言う可能性があるんじゃないですか?」

「さあ、どうなんですかね」

まやは曖昧に言い返した。

(今朝がダメだったから帰り…どうやろな、やりかねんわ)

心の中で呟くと、緑茶を口に含んだ。