地下の駐車場に向かった狼谷の車を見送ると、まやは目の前の建物に視線を向けた。

「デカい…」

50階もあると言う高級マンションに、まやは呟いた。

駐車場である地下2階も含めると、かなりの大きさである。

この47階に狼谷が住んでいるのだ。

玄関のパスワードを解除して中へ入ると、エレベーターで47階に向かった。

カードキーでドアを開けると、部屋の中へと足を踏み入れた。

高級ホテルのスイートルームかと見間違うくらいに、部屋の中は広かった。

使っていない方の部屋の数が多いと狼谷は言っていた。

そのうちの一室として利用しているドアを開けると、部屋の電気をつけた。

「夢じゃないな…」

ズラリと並んでいる私物たちに、まやは呟いた。