「ホンマのことやで。

わい、1個もウソなんかついてへんからな。

神様仏様…いや、閻魔大王に誓ってもええわ」

「え、閻魔大王って…」

(何でそこだけ“様”をつけへんのよ…)

ツッコミを入れるところが違うような気もするが、そう思わずにはいられなかった。

「あまりにもかわいらしいから義兄さんがな…って、まやは義兄さんのことを知らんかったな。

フロアは違うけど、まやと同じビルに勤めとるんやわ」

「えっ、そうなんですか?」

そのことに驚いて、まやは思わず狼谷に視線を向けた。

「ああ、やっとこっち向いてくれたわ」

そう言った狼谷に、
(しもた!)

まやは心の中で呟いた。