「はっきり言うと迷惑なんです。

自分の足で歩けますし、自分の足で帰れると言うのに…何より、向こうにだって仕事はあるのに」

「自分の仕事よりも彼女のことを優先にしている男の人って、世の中にはそんなにいませんよ。

大切にされているし、愛されているじゃないですか」

「ですけど…」

「それとも、まやさん自身に何か問題があるんですか？」

倉坂のその言葉に、グサリと胸に刃物のようなものが刺さった気がした。

「…そう言う訳じゃないですよ」

まやは呟くように言い返すと、ペットボトルのミルクティーを口に含んだ。

「じゃあ、結婚へと踏み込んでもいいじゃないですか」

倉坂が言った。

「そう簡単に言わないでくださいな。

結婚って、あなたが思っている以上に真剣な問題なんですよ」

まやは言い返した。