首筋でしゃべらないでほしい。

「だから、オレはお前だけだって!」

『今さらね。あの頃の私への態度で、好かれてるなんて思えなかった。』

「あれはオレが悪かった。プロポーズしたくて場所探したり、指輪探したり、家探したりケータイでやってたら、肝心の潤を蔑ろにしてた。それなのに、女の子と話すとヤキモチ妬いてる潤が可愛くて、やめられなくてたくさん泣かせた。」

「ちなみにあの接待、やっぱりあの子が仕組んだことだったよ。最初からなかったのは本当だったんだ。我を忘れて、みんなの前で薺が彼女を責めて、その行動を知った部長から彼女は厳重注意。相手(会社)がいることだし、接待なんてウソはいけないからね。その上、みんなに薺との噂を自分で流したことがバレて、須藤さんが可哀想だと責められて。彼女、居づらくなってやめていったよ。自業自得だけどね。」

朝霧主任が淡々と話してくれる。

「そこまで真実がわかっても、安西さんは居場所を教えてくれなかった。何故?」

鋭いツッコミされますね、主任…。

「それは…。」

言いにくそうに私を見る寧々。

『私に大事な人が出来たからですよ。』

「えっ?!」

二人同時に驚いた声を出す。

そう。すっごく大事な子。

「それは…。」

朝霧主任が動揺を隠さないまま、聞いてこようとした時だった。

「あれ?潤、友達?」

あーっ!

櫂琉…。

もう来ちゃった。