風が涙を運び、顔を冷やした。
寒い。
マンションの屋上から町を見下ろす。
暗闇に灯る光がすごく眩しい。
ここから飛びおりたら…と頭の中で自殺を繰り返す。
いっそもう溶けて風になりたい。
死にたくても死ぬ勇気がない。でも生きたくない。
人間の体のどこかに停止ボタンがあったらいいのに。
何か才能が欲しかった。顔が良かったり、歌がうまかったり。そしたらもう少し違う生き方が出来たんじゃないだろうか。
そんなことを考えていたら夜の1時を過ぎていた。マンションの屋上から重い足をなんとか前に前に出して3階まで階段を降りて行った。
ドアノブを見つめる。ドアノブが私をどん底に引きずり落としてくる。
はぁ…
深呼吸してポケットから鍵を取り出し音を立てないように開けた。
家の中は静かで家族の寝息が聞こえる。
気を紛らわそうとスマホを取り出し横になる。twitterを開き皆を羨み、またため息をつく。スマホを見ていると少し冷静を取り戻せる。
自分は一体何をしているんだろう。
それなりに真面目に生きてきた。
家族を思いやって家事も自分から手伝い、勉強も地道にやって、兄弟の上と下がしっかりしてない分自分がしっかりしようとした。
それが間違いだった。上と下のようにうまく親にも甘えられず、可愛げがないと言われた。兄が要領がいいのに対して私は人間関係で壁に何度もぶち当り、勉強も成果が出なかった。いつしか親は平気で私に家事を押し付けるようになった。そして勉強ができないことでよく怒られた。家も外も窮屈だった。前世が悪かったから今バチが当たってるのだろうと考え、18年間ずっと我慢してきたがとうとうガタがきた。
何に対してもやる気が出ない。部屋を片付ける気力も集中力もなくなった。風呂に入ったり、部屋の掃除をするのは重労働。いつも汚い部屋の隅でうずくまり、じっと動けない。
受験がすぐそこだから勉強しなければならないのはわかってる。部屋も片付けないといけないのもわかってる。頑張りたいけど頑張れないのだ。
私はスマホをいじりいろいろ考えているうちに意識を飛ばして眠っていた,