「その節はありがとうございました…」



「それで？見つかったの？」



「うん！それがね、可愛い子が拾ってくれて…！」



そこで私ははっとした。

そういえば名前を聞くのを忘れていた。



「……由紀？どしたの？」



「ひ、拾ってくれた女の子の名前…聞くの忘れてた」



「…はぁ」



絢香は何かを言いたげにこちらを見てから深くため息をついた。

ほんと馬鹿よね、と言われなくても伝わってくる。

何て名前の子なんだろう…もう一回喋りたいな…


高校生活１日目はそんな自分で自分に呆れた日だった。