「坂野さん、ちょっとおいで。」
私を呼ぶ部長の声がオフィス内に広がる。
私、坂野麻衣は明後日でアラサーになる29歳。
高校時代に失恋して以来、恋愛はもうやめることにした。
「坂野さん、ここ、直しておいていただけますか?」
「はい。わかりました。」
まただ。また同じミスを犯してまった。
変換ミスは今で何回目だろうか。
すると、隣のパソコンの山原聡くんが笑っていた。
「ハハハハハッお前、今日で何回目だよw変換ミスは程々にw」
やりたくてやってるわけじゃないのに。
そう思いながらも、変換ミスを直していた。

直しが終わると、もう、午後5時を回っていた。まずい、今日は友達とカラオケに行く約束だった。なので、部長に頼み込んで、早退させてもらった。

そして急いでカラオケに行くと、友達がもうすでに集まっていた。
「ごめんごめん。仕事で忙しくて…」
と麻衣が謝ると、友達は許してくれた。